Regional Scrum Gathering Tokyo 2021に参加してきた話

初参加した去年に引き続き、今年もRSGT(Regional Scrum Gathering Tokyo) 2021に参加してきました。

2021.scrumgatheringtokyo.org

言わずもがなこの社会情勢なので、オンサイト・オンラインを交えたハイブリット開催となり、自分は初日だけ現地で参加、素敵なノベリティを戴いたりしつつも、オンライン参加も体験したいというのと、初日に都内で1500人を超える感染者が出たり、非常事態宣言が発令されるとのこともあったので、二日目以降はリモート参戦としました。

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とても素敵なノベリティの品々。トートの小袋、最初はネームストラップとか入ってましたが、実は本体を格納してコンパクトに持ち運べるなど!

そういえば、去年のDay3のブログ、書くつもりだったけど書いてなかったな、どころかその後の記事が全く続かなかったな、というのが、ある意味今年のRSGTに繋がってて、個人的には発見がありました。それは後述。

ちなみに、ここ1〜2年ぐらい、いわゆるカンファレンス系ではノートPCではなく、iPadで手書きメモをとるようにして参加してたんですが、Zoomのセッションをオンラインでの聴講スタイルを見つけたりもして、こちらもすごい学びになりました。

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画面の手前にiPadを置き、メモを取りながらのオンライン参加。

手書きメモアプリはGoodNotesを使っているんですが、これのMac版とiPad版の同期が10〜20秒ぐらいで行われることに気づき、Zoomのスライドのスクショを撮り、それをMac版のページにドロップし、その絵が入ってくるだろう脇にあらかじめ手書きでメモを書いてマージされていく、みたいな。これはすごい体験でした。

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また、今回はどうしても苦手意識があった、イベントにおけるDiscord併用の文化に馴染む、という裏目標もありました。ちなみに、過去にはTwitter実況についてもアレルギーがあったりしたんですが、Discordに関しては、割と根深くコミュ障だと自認している自分が新しいコミュニティに入っていくのが怖い、と言う恐怖心から来ていたんだと思いますw

今回のRSGTで得たこと、感じたこと

よく、点と点が線で繋がる、みたいな話がありますが、今回のRGSTを通じて感じたのは、一次元から二次元に拡がった感じで、それぞれの点が円として大きくなってそれぞれ重なっていった、と いうのが大枠としての感想。それについて色々綴っていこうと思います。

f:id:daidai7:20210111232200g:plainじゃなくてf:id:daidai7:20210111232203g:plainな感じ。

この感覚、わかりますかね…?w

現在地を知る(自分の現状)

そもそも自分は認定スクラムマスター(CSM)の資格を持っているにもかかわらず、いままで一度たりともスクラムチームを回したことも、携わったこともなく。強いて言えば、去年ジョインした環境で一つのプロダクトが何年かにわたってスクラム開発をしている、ということぐらい。マネージャーとして、そのチームに間接的に関わっているけど、直接セレモニーに参加することはなく、こうしてみては?みたいな話をする程度。

というわけで、去年も今年も、RSGTに参加するにあたり「スクラムによるプロダクト開発経験がないこと」というのがものすごく負い目だったんですが、今回参加して霧が一気に晴れた感じ。そう、原則とかルールではなく、直感として自分がどうやってプロダクトや組織に関わっていきたいか、というマインドだけでも十分スクラムを学ぶ意味がある、と気づかされたのでした。しかも一発目のきょんさんのセッションで。

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これ、パタンとかにも通ずることかもしれませんが、カタチから入っていって自己流で見よう見まねでやる、ということではなく、あくまで自分の直感を経験として秩序立てて積み上げていったら、原則とかルールになったよ、みたいな捉え方。別にスクラムのマインドに共感して学びを深めていくんでもいいじゃん、と。これはメチャクチャ大事だな、と思いました。

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では、なんで自分はCSM受けさせてもらったんだっけ?って思い返したときに、前職でもスクラム開発はしてなかったし、なんなら入れられそうなフェーズのプロジェクトもしばらく出てこなさそうな中、いわゆる横断組織を作ろうとして色々と藻掻き、自己組織化したチームがつくりたいと思っていろいろ勉強したり、外の会社の事情とか知りたいなと思って色々とコミュニティに参加しているうちに、スクラムマスター的な視点が組織開発にきっと役に立つはず、と思ってお願いしたのでした。

先述の図の中央にある「客観と主観 → 深い共感」は、野中先生のキーノートでも出てきた、個人の主観(一人称)と組織での客観(三人称)を、対面で共創する相互主観(二人称の共感)にも繋がって、ああなるほど、と腑に落ちました。

場の個の話

今回むちゃくちゃ面白い気づきがあったのが、椎葉さんのセッション

speakerdeck.com

楽天でなぜ社内公用語を英語にしているのか?単に三木谷さんがカッコイイとおもったからじゃね?とかって思ってる人は少なくないと思いますがw、そこにある背景をちゃんと理解すると、すごい理にかなっている方針だな、と思いました。

これも、そもそもスクラムという言葉が日本発なのに、アメリカで広まって逆輸入されてきているということにも繋がっていて、最初はなんでだろうなぁ?ぐらいにしか思っていなかったんですが、セッション中に、日本社会における「場」に気を遣う世界と、欧米社会の「個」を重んじる世界という対比がムチャクチャ面白かったです。

さらにそれが平鍋さんのセッションで話されていた、Spotifyモデルの話に繋がって、ああ、安直に原則だけパクって実践しても本質を突いていないから、そりゃうまくいかないよね、という話。

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今回の平鍋さんのセッションは、野中先生のキーノートの予習となるような内容だったけど、ライブで聞けず、結果的に復習として録画でみたのだけど、フロネティック・リーダーの資質で「場」を作るという話が出てきて、これはそもそも、欧米の「個」の世界観に「場」を作ることができることが重要だった、みたいな流れなんだな、というのをツイートしてたら、平鍋さんにリプもらって小躍りするなどw

ちゃんと共感を得た感じで嬉しかったです。

物事の本質を考える

自分は「本質」という言葉が好きで、というか、偏屈な人間なので、なにかをやろうとしたときに本質が腑に落ちないと本当に腰が重いという面倒臭いヤツだと自覚しています。たとえば仕事で作らなければいけない資料だったり、なにか新しいルールが導入されそうなことに対しても、それってやる意味あるの?みたいなことを考えちゃって初動が遅れちゃうタイプ。これがちゃんと言い出せればまだいいんですが、内に秘めてしまってやる気無さそうなやつ、みたいな印象を与えてきたことも多かったんじゃないかな、と。なので、自分がなにか始めようとした時ぐらいは、Whyを徹底的に考えたいな、と思うようになりました。

一方で思いついたことをアレコレ言いまくるせいで、なにも考えていない、場当たり的な考えをしているなという印象もあるかもしれません。でも、自分の中には、いろいろな暗黙知があるつもりで、その中にある軸をぶらさずに(…と本人が勝手に思ってる)考えを展開してきたんだな、と言うことが認識でき、そりゃうまく伝わることすくないや、という気づきも。

そういう意味では、過去一番成功したプロダクトをやってた時は、共感ベースで殴り合う相手と一緒にやれていたラッキーがあったから、という側面が大きかったんだろうなと。たしかにあのときのコアメンバーは、お互いにアイツの言ってること意味ワカンネーと言いつつも、自分はこう思うんだけど、と言うカタチを見せ合うことで、一緒の方向に向かっている、というのを常に確認するような進め方ができていたな、と。今更ながらちゃんと腹落ちしました。

ギャザリングなんだっけ?

最初に書いたように、今回はオンサイト・オンラインでのハイブリッド開催でだったんですが、これは、コロナ禍で変化を求められたRSGTに至るまで全国のスクラム系コミュニティの集合知的なものもあり、ある意味ここまでハイブリッドネイティブなイベントに参加したのは、(もちろんコロナ禍になって以降)初めての経験で感動しました。

オンサイト・オンライン双方の参加者がリアルに対面でギャザリングするようなことはできませんでしたが、ただZoomで繋いでウェビナーをみる、ということではなくて、そこにはそれぞれのセッションを通じた「場」があり、会場から見ているような、外からも見ているような、めちゃ不思議な感覚。

Discordによるリアルタイムの感想戦も、Twitter実況や、Slack等での単一のタイムラインということではなく、映像やボイスなどのストリームに加えて、テキストストリームが融合することによって、時間軸の共有という体験を通じて、そこにみんなが繋がっているような錯覚を得られたのでした。

「練度」というワード

ハイブリッド開催、通常のセッションも、登壇者もオンサイトだったりオンラインだったり、はたまた両方混じってたり、三日目のOSTセッションなんて、Miroに200人強同時に入ってシステムの限界を超えたりしながらも、それでもその場できっちり対応しきっている様を見て、参加者の「練度」が高い、だなんてキーワードが聞こえてきて、確かにそれはイチ参加者の自分も凄く感じられて、こんなイベントなかなか珍しいな…と思いました。

ふと、あれこの参加者を一同に集めたらものすごい集団になるんじゃ?なんて思ったりもしましたが、結局2:6:2の法則とかになったりするのかなぁ…とか、実務領域はバラバラだなぁ…とか思っていたりしたんですが、これも野中先生から平鍋さんへの問いかけ、「会社は、組織図や取締役会にはなく、そこ・ここに起こる会話にある」なんて話を聞いて、そんな考えが吹き飛んでしまいました。ここにこうやって集まっているから素晴らしいし、その練度を見てて気持ちいいのだろうな、と。

結果的にギャザった

通常であれば初日の夕方にがっつり時間が取られているネットワーキングセッションが(今回は、Can Done Learn とシャレの効いたネーミングだったのに…)、オンライン参加者だったり、感染予防対策のためだったりで流れてしまったため、当初はギャザリング感が損なわれたか…と感じかけてたんですが、その裏番組である「とにかく知り合いを増やす会」のセッションでメチャ濃厚な時間を過ごすことができました。

とはいえ、その場で直接たくさんの人と繋がったわけではなく、たまたま一緒のテーブルになった、もともとの知り合いばかりのため(といいつつ、きょんさんと同グループというラッキーも重なり)、心理的安全性の高い位置から自己開示、というか、いまの自分の現在地と未来の位置を話すことができ、その結果より積極的になるというマインドの変化が起きたり、終了後にDiscordでいろんな人と繋がれた、というのが大きな収穫でした。

去年までであれば、最終日のクロージングの後、いわゆる地下の中華でやるような感想戦、クロージングキーノートの感動も醒めやらぬ間に、ボイスチャットによる感想戦。それも複数ルームあるので、OSTにおけるチョウチョとハチの如く、いろいろな話が折り重なってめちゃ面白かったなぁ、と。 あとは、なぜかAmongUsを三日目の夜に参加者でプレイするという時間があり、そこでも「場」のファシリテーションについての気づきを得て、以前遊んだ時に感じた違和感の検証もできたのが自分の中での大きな収穫。おもしろかったです。またやりたいなぁ。

あらためて、去年との違い

結果として今回のハイブリッド開催に自分が適応しようと思ったときに、自分の中でブレイクスルーが起きたんだとおもいますが、松浦さんのセッションでも取り上げられた、「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」というエリック・バーンの言葉がメチャクチャ刺さったこともあり、これは大きな気づきになりました。

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それが、ちょっと関わる姿勢と意識を変えただけで、全てのセッションにおいて、全てが繋がっている様に感じはじめ、関連した気づきがひろがり、それを野中先生にクロージングしていただく、という夢のような3日間で締めくくられた感じでした。

あらためて去年の参加ブログを見返してみて、セッション、セッションをそれぞれ別にとらえていたこと、なにかしらアウトプットをしないといけない、という半分義務感に苛まれていたな、と実感。そのレポートもセッションのことを振り返って書く、ぐらいしかできていなくて、イベント全体を捉えてなにか、ということはあまりできていなかったと思います。(とはいえ、その観点で、こうやって書いてみたものを読み返すと、言いたかった事とかちゃんと書けてないな、とか、もっといろんなセッションで刺激受けてるのにな、とかって思ったりするんですが、暗黙知形式知化しきれていないところに関して、それは今後の伸びしろにというわけで、まずは変わってみるところから始めよう。)

今回の積ん読

ひたすら読みたい本が増えました。ひとまず、Kindleのサンプルにして落としておいて、読み進めていきたい所存…。どれから片付けようか…。

フッサール現象学についての話が出てきて、気になってたらマンガでわかる…的なわかりやすいものを教えて貰ったので、これはサクっと読んじゃおう。

現象学の理念

現象学の理念

NVC(非暴力コミュニケーション)については、コミュニケーション力を高めていくために、気になっていたんですが、OSTの時にちょっとしたワークをみて、一度ちゃんと見て置いた方がいいな、と思ったのでピックアップ。

OSTでの積読解消したいというセッションもあったけど、ryuzeeさんからこんな事も聞いたので少しずつ進めていこうと思います。

Kindleだと大事なところだけザッピングしながらひたすらマーキングしておいて、メモとハイライト機能を使って後から見返すということもできる、というのが物理本にない魅力。

さいごに

そして、今回なにより助かったのは、3日間のセッションのあとの三連休。しかもDiscordでずっとイベントが続いている感を感じられたりしたこと。たとえば参加者が見られるセッション録画を見返すにしても、そのURLがDiscordにあるので開こうとすると、#トイレだったり、#ふとん だったりに面白い発言が転がっているのきっかけてログを見返したりして。今回のRSGTで得たものを少しずつ消化して、自分ごととして理解できるような流れに繋がったんじゃないかと思いました。これ、ふりかえりもせずフラフラしてたら勿体なかったんだろうな、と。

マルチトラック開催なので、見られなかった気になるセッションがたくさんあって、録画を見返したいなと思うし、それらをみてちゃんと消化していかないといけないので、まだまだ自分の中でのRSGT2021は終わってないのでしたw

とはいえ、明日からは今まで通りといかないまでも日常の業務に戻ることだし、そもそもココで得た知識をしっかりと自分のものにしていかないと意味がないと思うので、これを一旦の区切りにしようと思います。

参加されたみなさん、スタッフの方々、お疲れ様でした!

来年こそソラシティでハイタッチができますように!